第3回 時代の節目には巨大化映画がつきものです

どうも治郎です。

元号に代わって、早半月が経ちました。

まだまだ世間ではお祝いムードが続いています。

お祝いといえば、そう。

巨大化と相場が決まっていますよね。

 

 

うちの近所でも、5m×7mに明朝体『令和』とだけ大書されたバカ幟が上がったり、

食いきれないほどデカいトンカツが揚げられたり、連日馬鹿騒ぎが続いております。

かく言う私も、平成が終わると聞いてソワソワしてしまい、90分23000円の高級銭湯に出かけるなどして、身体の一部を膨らませていました。

 

このように、我々人類の深層心理には『お祝い=巨大化』という数式が刻み込まれており、目についたものや身体の一部を大きくしてしまうのは、これはもう習性と言ってもよいでしょう。

 

この令和の巨大化現象。

馬鹿らしいと思う反面、なんだか懐かしいな、と感じるところがありました。

 

私が未だ『風呂屋』というものを知らない馬鹿ガキだった当時。

今の日本のように、世界中であらゆるものが巨大化していたのです。

そう、あれはもう20年近く前、2000年頃のことです。

20世紀がいよいよ終わるということで、世界中が無意味に盛り上がっていました。

 

お祝いと巨大化には奇妙な相関関係があり、『祝い事が空虚であればあるほど良く膨れ上がる』という法則があるのです。

 

そんな時代に現れたのが、今回ご紹介する一本。

私にとって、平成という時代は2000年で一区切りされたような感覚があります。

元号が変わり、過ぎ去っていった時代は、この作品と共に始まったような気持ちもするのです。

 

 

              エビボクサー

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祝い事にはやっぱりエビですね


タイトル えびボクサー
製作年度 2002年
上映時間 90分
製作国  イギリス監督 マーク・ロック
脚本 マーク・ロック

 

この時期には類似の『カニゴールキーパー』『イカレスラー』『コアラ課長』等、

無暗に巨大化する動物が多く、世間を騒がせておりました。

 

一体何故動物たちまでが巨大化するのか?

それには本作で21世紀だからという非常にシンプルな見解が示されております。

これにはうるさがたのSFファンも膝を打つ完璧な答えでしょう。

 

はてさて、それではえびボクサーのあらすじです。

 あるしみったれた漁港で、巨大エビが水揚げされたところから始まります。

「こいつは21世紀らしいな!」

と、目をつけたのがその漁港で働くジョン・ジョニー・ジュディ(仮名)の3人組。

 

彼らは20世紀に生まれて、燻ったまま21世紀を迎えたボンクラでした。

21世紀こそ一発当ててやろうじゃねぇか、このエビで!

ボンクラらしい前向きさでエビを攫った3人は、巨大エビ興行ツアーを計画するのです。

 

しかし、そうは問屋が卸さない。

元々燻り続けるだけの理由があるボンクラどもです。

興行と言っても『1タッチ5000円』ぐらいしか思いつきません。

加えて、21世紀ということで巷では色々な動物が巨大化していました。

巨大ゴリラや巨大ゴジラが現れているのにエビのおさわりが流行るわけもありません。

 

21世紀巨大エビツアーは初っ端から暗礁に乗り上げてしまいます。

移動中のワゴン車内にも寒々しい雰囲気が流れていました。

 

実際寒いのです。

エビはエビですから、定期的に水をかけてあげなければいけません。

ワゴンの車内は常に塩水でビチャビチャでした。

 

そうやってエビの世話をしているうちに、ジョンがあることに気付きます。

 

「こいつ、シャコだ・・・」

 

エビはエビではなくシャコだった・・・

普段口にするものの中で圧倒的に昆虫っぽい、あのシャコです。

エビに比べると、なんと華の無い生き物でしょうか。

 

それは何故だかジョン・ジョニー・ジュディ(仮名)の胸を打つのでした。

思えば、彼ら3人もシャコなのです。

自分をエビだと信じて挑戦しても、シャコはシャコ。

いつだって勝負のリングに立つ前に門前払いを受けてきた身です。

そして今、またシャコがシャコであるために自由を奪われ、それなのに誰からも見向きもされていないのです。

巨大シャコの姿は、過ぎ去った20世紀と自分たちの人生を総括するかのようでした。

 

ポンコツたちのシャコへの扱いは、親しみさえ感じるほど丁寧なものになっていくのでした。

 

事件が起きたのは、海から離れた山中の村でのことです。

なにしろ海の無い場所ですから、巨大シャコショーは珍しく大盛況。

小さな子供たちにベタベタ触られて、よかったなぁシャコ!

と思っていたら、突然シャコが泡を吹いて苦しみ始めます。

 

海から遠く離れた山に連れられたことがシャコには大きなストレスとなっていました。

こりゃあいかん、塩水をぶっかけろ!と、駆けだすジョニー。

あろうことか、村の唯一の井戸に塩の袋をぶち込みます。

村人にボコられながら、3バカの決死のバケツリレーが夜を徹して行われました。

 

空が白み始めたころ。

いつしか3人は倒れるように眠りこけていました。

飛び起きた3人の前に、なんと元気を取り戻したシャコの姿が!

 

そう、シャコはとても環境の変化に強い生き物なのです。

よかったぁ、シャコで。

エビじゃなくて、シャコでよかったぁ。

シャコだから、生きてたぁ。

3人と一匹は抱き合って喜びます。

シャコのボーリング玉みたいな目玉にも心なしか涙が浮かんでいます。

 

「こんな根性の有る都会もんは初めてみただよ」

 

井戸を潰された村人たちも彼らの絆にほだされて、すっかり和解してくれました。

それどころか、親切な鍛冶屋さんがワゴンを改造して後部座席をプールにしてくれたのです。

これでもう車内がビチョビチョになることはありません。

 

それ以来、彼らの旅は好転しました。

シャコの殻のように固い絆で結ばれた3人と一匹のショーは連日連夜大盛況。

話題が話題を呼び、とうとうアメリカの全国放送に招かれるほどになったのです。

 

テレビ局に向かう車内で、3人組はキャッキャウフフとはしゃいでおりました。

話題は主に、この放送が終わったらシャコをどうするかです。

テレビ出演を最後に、3人はこのツアーを終えるつもりでした。

 

海に帰そうか、いやデカいプールのある家で飼おうか。

すっかりスターの仲間入りを果たしたつもりの3人の話題は取り留めも無く続きます。

 

ふと、思い出したようにジョンがジュディに尋ねます。

 

「そういえば、TVって何に出るの?」

「うーん、なんだか料理番組らしいよ」

 

3人組は鯖を食ったザリガニのように真っ青になりましたとさ。

という具合に、そんなこんなですよ。

 

まぁ随分前に観たのを思い出して書いたので、細かいところは違うかもしれません。

大まかな輪郭は捉えていると思いますが、流石にどうかなー?という気持ちもあります。

なんで、さっき借りてきましたよ、えびボクサー

 

これから観て確認しますね。

多分心配ないでしょうけど、あんまり内容が違ったら週末辺りにちゃんとしたの書き直します。

まぁ良いじゃん、別に。エビだし 。

 

それでは、さよなら、さよなら、さよなら。

 

※5/25追記

 

ダメでした。

第4回『ごめんよえびボクサー

https://ziroh.hatenablog.com/entry/2019/05/25/102536