地域密着型いじめ組織VSキアヌ・リーブス『ジョン・ウィック3』
どうも、ジロウです。
以前、キアヌ・リーブス主演の『レプリカズ』という映画について語った記事内で、
キアヌはいじめられるのが映えるという趣旨のお話をしました。
↓詳しくは下記の記事をご参照ください。
読むのは面倒臭いだろうから要約しますと、
キアヌ・リーブスのような優し気なおじさまを嬲るのは世界のトレンドだというお話。
その代表とも言えるのが、今回紹介する『ジョンウィック』シリーズです。
監督 チャド・スタエルスキ
脚本 デレク・コルスタット
クリス・コリンズ
マーク・エイブラムス
シェイ・ハッテン
製作 ベイジル・イヴァニク
エリカ・リー
出演者 キアヌ・リーヴス
ハル・ベリー
ローレンス・フィッシュバーン
マーク・ダカスコス
公開 アメリカ:2019年5月17日
日本:2019年10月4日
一作目でワンちゃんを殺され車を盗まれ、
二作目では嫁さんとの思い出が詰まった自宅を爆破され、
三作目となる本作では一体どうなるかと思っているところに、
アカデミー賞確実と囁かれる話題作『ジョーカー』の公開日と被るという仕打ち。
まさかの映画外からの打撃に、
既にキアヌ兄貴の苦悶の表情が目に浮かぶじゃありませんか!
キアヌ兄貴は俺たち根性無しとは違う、やり返すタイプのいじめられっ子。
そんな我らのキアヌ兄貴になんてことするんだ!けしからん!
待ってろ!今すぐ助けに行くぞッ!
不埒な予感に股間を膨らませて、劇場に駆け込んだところであらすじです。
あらすじ
引退していた伝説の殺し屋ジョン・ウィック。
自宅に押し入ってきたマフィアのバカ息子をぶっ殺したのをきっかけに、
足を洗ったはずの裏社会に再び舞い戻ってくる羽目になってしまいました。
その上、本人は割とやりたい放題暴れ回るので、さー大変!
殺して殺して殺しまくった挙句、
勢い余って自分とこの組織の上役までぶっ殺してしまいました。
そんな風に嘆いたところで後の祭り。
自分の古巣の組織に散々追い回される、
ちょい自業自得気味の地獄に落とされるキアヌ兄貴でしたとさ。
はてさて、ストーリーはこんな具合にアクション映画らしい単純明快なもの。
それでいて、大ヒットを記録した本シリーズの人気の秘密は二点あると言えます。
それは、ガンアクションの新たな地平を切り開いたとすら思えるアクション。
そして、男心をくすぐる裏社会の殺し屋組織という世界観です。
本シリーズのアクションはクリスチャン・ベール師範の編み出したガン・カタ、
そしてキアヌ兄貴の代表作『マトリックス』などに見られる、
所謂ガン・フーアクションを発展・洗練させたものと言えるでしょう。
外連味が強く、ド派手でデジタル色の強いガンフーに対して、
ジョン・ウィックのアクションは動きが小さく、肉体主義的です。
しかしながら、そのアクションは現実の軍隊の格闘術をモデルにしたもの。
キアヌ兄貴の徹底したトレーニングの元に繰り出されるそのアクションは、
最小限の動きでスピーディに敵を始末するまさに殺人マシン!
構え、リロード、射撃という殺しに至るまでの動きが滑らかで、
一切途切れないという気持ちの良さ。
外連という無駄を加えたガン・フーからあえて無駄を抜いたことで生まれる、
ある種のスタイリッシュさは、何度見ても気持ちの良い物です。
非現実的なまでの強さを発揮するジョン・ウィックですが、
映画を観ていて全く嘘臭さがありません。
だってあんなに銃撃つのはえーんだもん、そりゃ強いよ。
そういうわけで、本作のアクションをガンフーと呼ぶのには反対です。
これはまさに、ジョン・ウィックアクションと呼ぶほかないでしょう。
キアヌいじめ専門組織・主席連合
そんなアクションが飛び交う世界に彩りを添えるのが世界犯罪組織『主席連合』
表向きはホテルだの仕立て屋だのをやってますが、中身は真っ黒い殺し屋の互助組織。
元々ルールも糞も無い連中同士が、噛み合わないように生まれた組織とのことです。
その組織構造は現実のヤっちゃんや体育会系の部活がそうであるように、
義理と人情が蔓延り、粛清と儀式化された暴力によって回る強烈な縦社会なのです。
その意味深で、格調高くすら感じられる構成員同士のやり取りが心惹かれる格好良さ。
山と言ったら川と返すが如く、表社会に紛れた殺し屋同士の符丁があるのです。
そんなカッケー彼らですが、本編でやってるのがキアヌいじめてるだけなので、
イマイチ普段何やってるか伝わってきません。いいぞもっとやれ!
世界が望んだ最高の組織と言えるかもしれませんね!!!
まぁそんなこんなですよ。
ぶっちゃけ1~3までやってることはほぼ同じでして、
ちょっと語るべきところが少ないんですよね
しかし、それはマンネリを意味しません。
この手の作品の中では珍しく回を重ねるごとに格段に面白くなっています。
特に、『主席連合』の支配する裏社会を掘り下げたことによって生まれた、
印象的なシーンやキャラクターが多く、そこも魅力でしょう。
本作のライバル枠である寿司屋のハゲ忍者などはその最たるものです。
敵は全員ジョン・ウィックを知っていて、その伝説にあやかろうと襲ってきますから、
その姿はさながらキアヌ兄貴を愛しながらも苦悶して欲しい俺たちそのもの。
今作で少しでもキアヌの顔が綻ぶのは、
『続・夕陽のガンマン』の鉄砲店でのシーンのパロディと、
『ザ・レイド』の二人にボコされてる時のこれまたパロディシーンのみです!
古今東西アクション映画好き、
そしておじさまをひしゃげさせるのが趣味の方には欠かせない一作となっております。
世が世なら、コロッセオで奴隷を殺し合わせてうっとりしていたであろう、
貴族趣味の上品なお方に特にオススメです!
アクションに沸き立ち、キアヌのしかめ面にうっとりしようじゃありませんか。
聞いた話だと、3で終わりみたいなことを聞きましたが、
がっつり続く終わり方だったので、どっかで予定が変わったのでしょう。
なんにせよ、まだまだ目が離せないシリーズになりそうです。