あしたのためのクリーチャー図鑑『仄暗い水の底から』の水妖
明日、クリーチャーに襲われるかもしれない人のための記事。
それが"あしたのためのクリーチャー図鑑"
この記事では色んな作品に出てくるクリーチャーに焦点を当てて紹介し、襲われた時の対処法を伝授していきます。
皆さん新生活には慣れてきましたか?
残念ながら古きも新しきも一切合切世も末ですから、決して慣れることはありません。
初対面同士のギクシャクした人間関係、新しい環境のやりづらさ。
新環境だからと思ってませんか?
違うんです。
苦痛はこの先手を変え品を変え、ずーっと続きます。
しょうがねぇよ、ここはそういう国なんだよ。
なんて拗ねた心に忍び寄って来るのがそう、クリーチャーですね。
通常であればそのまま身も心もがぶりと一発心中ですが、それで終わりたくないのが人間の意地ってもんです。
このあしたのためのクリーチャー図鑑を読んで備えておけば、
最後の最後に一花咲かせて散れるかもしれませんぜ。
首相暗殺に乗り出す青年のような、そんな気持ちでいってみましょう!
『仄暗い水の底から』の水妖
■正式名称:不明
■サイズ:アパート1棟ほどと推定される
■攻撃性:残忍
■生息地:日本の団地
■危険度:人類の敵
詳しい対策を説明する前に、まずは
「おいおい!『仄暗い水の底から』はクリーチャー映画じゃなくて心霊映画だろ!」
という声が便器の水から聞こえてくるのでお答えさせていただく。
たしかに作中では美津子ちゃんというアパートの貯水槽に落っこちて死んだ可哀想な少女の霊という風に示唆されてはいる。
しかし、はっきり言ってこれはミスリードである。
考えてみて欲しいのだが、
・貯水槽の壁をベコベコ凹ます
・シャイニングかよという量の水でエレベーターを破壊する
こんなパワフルな幽霊がいるだろうか?
非業の死を遂げた少女に擬態した怪物であるという方がしっくりくる話で、
この作品のスッキリしない部分を完全に説明できる完璧な見立てであるといえるだろう。
つまり、こいつはシングルマザーの疲れた心につけ込む邪道・外道の知性ある怪物なのだ。
水を操る、一体化するというのは非常に厄介な性質で、一旦外界に出てしまえば手が付けられない事態になってしまうのは想像に難くない。
地球の7割は水であるのだから。
だが、どういうわけかこいつは映画の舞台となる団地から一切出て行かないのだ。
恐らく、あの貯水槽の中にこいつの"核"となるものがあって、その範囲から逸脱出来ないといった生態があるのではないだろうか?
ある種、怪物は封印されている状態にあると筆者はみている。
怪物の正体は?
「水をまき散らす邪道」
というキーワードで既にお察しの方も多いだろうが、こいつの正体は
邪道の中の王道を往く漢"大仁田厚"
ではない。
そもそも大仁田は元参議院議員でもあるのだから、シングルマザーを襲うわけもなく、むしろ福祉の手を差し伸べるべき相手だろう。
大仁田のリング上の振る舞いが粗暴だからといって、本人の人格までそのような外道だと見做すのは人間としての視野が自民党議員のように狭い。
恥を知れ。
だが水妖の正体が大仁田ではないとなると、残された可能性は限られてくる。
すでに、魔界の邪悪な魔物である”奴”を思い浮かべている方も多いだろう。
そう、ご存知大仁田の化身グレート・ニタ
ではない。
たしかにニタは東京湾のヘドロに"封印"されていたり、水をまき散らかしたりと何かと『仄暗い水の底から』との共通点は多い。
しかし、ニタは通算4度目ぐらいの死を迎えている上に、本家というか本物のグレート・ムタが引退しちゃったので、流石に大仁田も出しづらいのではないかというのは自明の理である。
そういうわけで、『仄暗い水の底から』の怪物は大仁田厚とは全く縁もゆかりもない、シングルマザーの精神を嬲った末に取り殺すというド外道なクリーチャーである。
ちゃんと聞いているのか……
君からは反省の色が全く見えない。
『仄暗い水の底から』の水妖のぶちのめし方
さて、このような不定形の水の姿を持つ怪物にいかに対処すべきか。
残念ながら正面からのストロングスタイルでは勝ち目は薄いだろう。
関節技も打撃技も水相手では効果が薄く、加えて相手には金属製の壁を凹ませるほどのパワーがある。
こんな相手には、王道を外れた邪道にこそ勝算がある。
そう、この怪物に対処するには電流爆破デスマッチ以外に方法はない。
電流爆破デスマッチとは、リングのロープに電流を流した有刺鉄線と火薬を巻き付けた形式で行う危険なプロレス。
一たびロープに触れれば白煙と血飛沫の舞う、大仁田考案の地獄のルールである。
相手はお誂え向きにだだっ広い屋上の空間に待ち構えてくれているのだから、
こちらも悠々とそこにデスマッチ場を設営してやればよい。
相手が渋るようなら、新日のリングに上がる際の大仁田の口八丁手八丁を真似して挑発してやれば、否が応でも戦わざるを得ない状況に追い込めるだろう。
リング下には、逃走防止に地雷を仕掛けておくのも忘れずに。
水の性質を持つ怪物に、
電流と火花を嫌というほど浴びせてやれ!
恐れることはない。
結局のところ、戦いに必要なのは技術でも力でもないからだ。
ただ、血を流す覚悟さえあればどんな敵とだって立ち向かっていける。
そういう姿勢を大仁田厚は血と骨で、僕たちに見せ付けてくれていたんだと思う。