燃え盛れ東京コンプレックスホラー!『血を吸う粘土』
どうもジロウです。
皆さん元気に外出自粛していますか?
全くこんな具合に世界が滅んでしまうなんて、バリー・マクガイアもビックリですね!
私はというと地方の端に生まれ、都会へのコンプレックスを燃やし続けながら育ち、
現在は何の因果かようよう行き着いた東京で地べたを這いずり回る日々ですから、
今の寂れた街並みに痛快な気持ちと、単純に不便だなぁ怖いなぁという気持ちでトントンです。
そんな微熱っぽい気持ちを、
「あっ、もしかして」と思わせてくれる、体温上昇免疫低下必至の映画をご紹介です。
血を吸う粘土
お話はド田舎の美術系予備校で始まります。
売れない彫刻家が狂い死にしたというファンキーな由来を持つアトリエを改装した、
実に由緒正しいこの予備校に、まぁよくも集まった燻り浪人生たちが五人。
かのアドルフ・ヒトラーがそうであるように、美大志望の浪人生というのは淀むもの。
その上、講師も東京から逃げ出した芸術家崩れですから、
美術教室というよりワナビどもの隠し砦といった方が適切でしょう。
「オラ東京さ行くだ~」
と、日夜土をこねたり林檎を描いたりと、勉強に勤しむ浪人生ですが、
時折「やっぱ東京モンには敵わねぇだ」
「ハァーセンスもねぇ!講師もねぇ!浪人暮らしでグールグル!」
などと弱音を吐きまくり、崩壊一直線の暗黒情熱大陸模様を見せてくれます。
そんなくすんだ空気を感じ取ったのか、
かつて狂死した芸術家の血と遺灰を作品に混ぜ込んだけったいな粘土が突如復活!
人の生き血をジュルジュル吸って粘土状にせしめた後、捕食する。
というちょいマニアック・エロなバケモノです。
こいつが大事な予備校仲間を食っちまうもんだから大変だ、というのが本作の筋です。
粘土ですから、砕こうが焼こうが水を与えると復活するというこの化け物。
最終的にビニール袋に小分けにされちゃう物哀しさが後引く傑作モンスターです!
粘土化されたキレイどころが仲間たちに気付かれずに、
絶叫しながら捏ねられちぎられるシーンなど特性を活かしたホラー描写や、
触手がビルビル動くキショなクレイアニメなど見どころ沢山の本作ですが、
やはり田舎もんとしては血沸き肉躍るラストシーンが見逃せません!
そんなこんなで4人も食い殺した末に封じられてしまった吸血粘土くんですが、
水を与えると復活してしまうのが厄介なところ。
じゃあどうすんべさ、と考えあぐねた末に出した驚愕の結論は、
「そうだ、東京に送ろう!」
合格者の笑い声が響く「東京美術アカデミー」に、
吸血粘土くんの詰まった段ボールを投棄して帰ってめでたしめでたしです!
皆で同じ大学行こうね!と励まし合った皆、
そして東京コンプレックス拗らせて売れないまま死んだ元芸術家のおっさん。
この五人の怨念が籠った粘土が咆哮を上げながら東京に侵攻して行くシーンは、
田舎者の持つ潜在的ファッキンTOKYOスピリッツを燃え上がらせること間違いなしですぜ!
煮えたぎるコンプレックスと憧れを、見事な破壊衝動に繋げたこの一作。
まさに崩壊直前のこのご時世にこそオススメの一本です!
「優しさ」みたいなものが芽生えるんじゃないっすかね。