第二回 ボウリングにトラウマのある方は必見!お医者様も認めた映画です。
どうも二郎です。
ボウリングってありますよね、あの鋼鉄玉転がしです。
皆さんはあの遊び好きですか?
僕は差別感情にも似た憎しみを抱いています。
というのも僕が学生時代、「ボウリングをやった事がない」と口滑らしちまったがために、ボウリング主義者に酷い差別を受けたからなんですね。
間が悪いことに相手は集団で、即座に取り囲まれてしまいました。
「お前は人権を放棄した」
「―――狂ってる」
「宇宙人?っていうか地底人?」
「気味が悪い」
などと酷い侮辱と暴行を受けて失神、以降2年間の記憶が真っ白けです。
こういう思い出があるので、ボウリングがもう憎くて憎くて仕様がないんですよ。
で、その心的外傷をケアするためのセラピーで、医者に勧められたのがこの映画です。
悪魔の毒毒ボウリング
製作年: 2008年
メーカー: SIMカンパニー
出演者: アラステア・キャンブル 、 ミホラ・テルジック 、 ナシャン・ウィット
監督: ライアン・ニコルソン
撮影: マーク・アトキンス
音楽: パトリック・コブル 、 ジャンニ・ロッシ
またトロマ、また毒毒です。
別に好きでもないですが、医者に勧められたからには仕様がありません。
一応言っておきますが、ボコされたとこ以外はウソです。
はてさて、一体どんな映画でしょうか。
お話は、馬鹿学生のボウリングコンパから始まります。
思い思いの方法で気になる異性にアタックする学生さんたちですが、
一人の女の子は特に気合が入っていました。
名付けてノーパンワカメちゃん作戦。
どんな作戦かは上のパッケージを見ていただけると分かると思います。
しかし、女性の側に気合が入り過ぎると、鋼鉄ボールぶら下げたチンポコ野郎といえども委縮してしまうもの。
「そ~れ♡」
なんてしなを作って投球しますが、そのたび見えるワカメはシリアスそのものです。
楽しいコンパは、食うか食われるかの野生の世界に様変わりしてしまいました。
あまりにも真剣すぎる姿勢は、時にこういった空気を作ってしまいます。
ヒリついた状況で男女のアレコレなど考える余裕はありません。
奇妙な緊張感を残したまま、コンパはお開きとなりました。
「いったい何が悪かったんだろう・・・」
ボウリング場に一人残って、今日の戦いの反省会を行うワカメちゃん。
どこまでもシリアスな女です。
しかし、どこの世界にも規格外の馬鹿というのはいるもの。
「オ、オラもうたまんねぇだよ・・・」
ノーパンワカメちゃん戦術に釣り上げられた馬鹿者が一人おりました。
馬鹿すぎて今にも死んでしまいそうな彼の名前を、仮にカツオくんとしましょう。
こっそり着いて来ていたカツオくんは、ワカメちゃんに言い寄ります。
しかし、ワカメちゃんの対応はマグロもかちんこちんに凍る絶対零度でした。
"二人の男に出会ったら、連絡が来るのは絶対興味のない方からよ"
ワカメちゃんのお目当てはメガネの似合うシャイボーイ、ナカジマくん。
シャイボーイを釣るのにノーパンという発想は流石の一言です。
結構ワカメもカツオも似た者同士でお似合いの気がしますよね。
さぁフラれてしまったカツオくん。
大方の予想通り逆上して、ワカメちゃんをレイプしてしまいます。
思う存分やった後、
「これが僕のオリジナリティなんだなぁ」
と、カツオくん持ち前のイタズラ心で、ボウリングのピンをワカメちゃんのサザエさんにストライク。
何が楽しいのか、ゲラゲラ笑って大満足です。
やられたワカメちゃんは、憎しみのあまり修羅になってしまいました。
蒼白の顔にみだれ髪が振りかかり、目だけが光ってギラギラ。
心なしか顎も割れています。
OPクレジットが流れ、悪魔の毒毒ボウリングの開幕です!
この映画の白眉と言えるのがこのOPシーンでしょう。
謎の怪人物が、ボウリング用品を武器に改造するシーンが滅茶苦茶格好いいです。
ピンの頭を削ってとんがらせ、鎖で繋いでヌンチャクに。
ボールを両手に持ってウルヴァリンっぽくポーズ。
画像でお見せしたいんですが、もう一度見るのは勘弁してください。
最後にマイボール入れ(玉袋)を頭に被ってボウリング怪人BBKの誕生です!
そんなこんなで、日をまたいで次の日です。
何故だか知らんが、前と同じ面子でまたコンパが開かれています。
なんと、ワカメとカツオも参加していました。
レイプされ女とレイプし男が一堂に会するなんて、裁判所ぐらいでしか観れません。
恐ろしく厳粛な雰囲気で始まった、葬式並みに楽しくないコンパ。
そこには背筋も凍る復讐の計画が渦巻いていたのです。
既に奇妙なお話ですが、ここから更に奇天烈な展開に垂直落下していきます。
コンパの裏でBBKが馬鹿たちを次々にボウリング武器で殺していくのですが、
誰一人そのことに気付きません。
普通こういうお話は、大抵一人二人殺された辺りで大騒ぎになるじゃないですか。
パニックになったり、犯人探しが始まったり…
そういったことは一切起きず、淡々とつまらんコンパと珍妙な殺しが続きます。
その鈍感さときたら、最後の女の子1人になるまで殺人に気付けないという体たらくです。
生きながらカビに食い殺されるという、ナマケモノの方がまだシャキっとしていますよ。
さて、このまま全員殺されるんじゃとハラハラしていましたが、
どうにか殺人に気付いてもらえました。
漸くお話が動き出し、最後の女の子とBBKとの対決が始まります。
「お前たちも疑問に思っていたろうが、実はBBKは二人いたのだよ!」
「・・・?」
「BBKが、ボウリングバックキラーという意味だとは思いもしなかったろう」
「・・・?」
「BBKの正体は私、このボウリング場のオーナーだ!」
「・・・?」
「お前たちを閉じ込めるために入口を施錠したのも私だ」
「・・・?」
「ふっふっふ、驚いただろう」
なんだろうこの痛恥ずかしさ。
ノリノリでトリックと正体を明かすBBKですが、どれもピンと来ない話ばかり。
そうなんです、色々トリックがあったらしいのです。
きっと、犯人探しを予想して、頭を凝らして考えたのでしょう。
しかし、さっきまで殺人にも気づかなかった連中に、そんな必要があったのでしょうか?
生き残った女の子の顔にも、
「何言ってんだ糞親父」
という表情がありありと浮かんでいるではありませんか。
これは凄い!
まんまと罠にひっかかった相手より、罠を仕掛けた側が間抜けに見えるという類を見ないシーンです!
はてさて、最後に恥をかいたBBKは、女の子に返り討ちにされてしまいました。
彼女が偶然銃を見つけて、拾ってしまっていたんですねぇ。
やった事がないんで分からないんですが、ボウリング場に落ちているものなんですかね?
BBKはボウリング用品しか持ってない訳ですから、銃には敵いません。
命乞いして、泣きながら死んでいきましたよ、えぇ。
一人生き残った女の子は、ボウリング場を後にします。
誰も逃げ出さなかったので、まるで意味のなかった入口のバリケード。
普通に鍵開けて脱出です。
外は、映画を撮るには向いていない中途半端な曇り空。
ぼやぼやな画面のなかで、雲を睨みつけながら女の子が一言。
「ほんっとサイテー」
後に残るは画面の前で静かに頷くしかない間抜けだけです。
ほんと、ボウリングなんてやるもんじゃないですねぇ。