第16回 ラリったセレブは殺人マシン『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』

どうも、ジロウです。

全世界のボンクラ映画ファン待望のタランティーノ監督の最新作、

『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』が公開されましたね。

 

タラちゃんと言えば、世界で最も信用の置ける監督の1人。

ビデオ屋でゴミビデオに埋もれる毎日から、一躍世界的映画監督になったという彼の経歴には1ボンクラとして熱いものを感じざるを得ません。

 

一説には彼に感化されて「いつか俺も・・・」と呟きながら、

ゴミビデオの見過ぎで死んでしまったボンクラは7兆人を超えていると言います。

私もその骸の山に片足を突っ込んでしまっている1人。

タラちゃんの新作となれば頭から飛び込まずにはいられません。

 

今回は、最新映画のご紹介となります。

ネタバレに配慮して、嘘をぶち込んで書いておきますので、安心してお読み下さい。

『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』

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ブラピとデカプーが並んでるだけでもうたまりませんね!



監督 クエンティン・タランティーノ
脚本 クエンティン・タランティーノ
製作 クエンティン・タランティーノ
デヴィッド・ハイマン
シャノン・マッキントッシュ
製作総指揮 ジョージア・カカンデス
ユ・ドン
ジェフリー・チャン
出演者 レオナルド・ディカプリオ
ブラッド・ピット
マーゴット・ロビー

 

ウワッ カッコイイ!

このポスターアートでもうかなりキテますよね!

60年代ファッションがもう一度流行ってもおかしく無いほどキマりまくっています。

今すぐ『狂い咲きサンダーロードTシャツ』を脱ぎ捨てて、

柄シャツ買ってこようかと思わせるものを感じます。

 

 

この60年代愛に溢れたファッションが物語る通り、

本作はその60年代後半という時代を大きくフィーチャーした作品です。

その時代のファッション、音楽、人物、etc・・・

60年代カルチャーが非常に色鮮やかで、大変美しく見えるのです。

 

この美術が本当に素晴らしい!

監督のタラちゃんは世界で5本の指に入るオタクとして知られており、

特に誰も見向きもしない様な、60年代のパルプものが大好物なのです!

金と技術とセンスと知識のあるオタクというのは、かなり無敵に近い存在です。

その愛情が炸裂した徹底的な画作りは、非現実的にも思えるほど美しい。

 

まさに“ワンス・アポン・ア・タイム”

『昔々あるところに』という語りがピッタリの作品世界に仕上がっております。

実際、インタビューである種のおとぎ話であると監督本人が語っていますしね。

 

その象徴としてではありませんが、まるで神話の中に『神様』が突然現れるように、

ブルース・リー”も普通に出てきます。 

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ブルース・リー、まさに”神様”がいた時代なのです。

少し語弊はありますが、この映画はタラちゃんの理想の世界と言っていいでしょう。

なんせ、出てくる女は全員ミニスカ履いてます!

タラちゃんは世界で5本の指に入るオタクですが、

同時に世界で2本の脚に入る足フェチとしても知られているのです。

これが彼の理想の世界でなくて、なんなのでしょう。

 

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テメェの監督作にテメェで出演して女優の脚を舐めるタラちゃんの図

 

そして、その美脚も映える美しい60年代の終わり。

史実では1969年の8月に起きたマンソン・ファミリーによる、

ハリウッド女優・シャロン・テート殺害事件に向かってこの映画は進んでいきます。

 

我々日本人向けに分かりやすく言うと、オウム真理教地下鉄サリン事件

もっと若者向けに言うと、キチガイカルトが美人を惨殺したと思ってください。

 

1つの凄惨な事件が、時代に陰を落とすということはあるものです。

凄惨な事件ばかりが起こる令和世代の我々には大変良く分かりますよね。

実際、この事件以降のアメリカはベトナム戦争へとなだれ込み、

街中の監視は強化されて、国中の雰囲気は重苦しいものへ様変わりしました。

 

溢れ出る60年代愛を絶叫しながらも、その終焉へと向かっていくこの映画。

一体タラちゃんはどのようにこの事件を描くのか・・・

 

まぁ大方の予想通り、返り討ちの皆殺しです。

 

2019年ぶっちぎりの格好良い野郎共

イングロリアス・バスターズ』ではユダヤ人にナチ公をぶち殺させ、

『ジャンゴ~繋がれざるもの~』では黒人奴隷に白人をぶち殺させたタラちゃん。

 

当然今回も間違いなくマンソン・ファミリーを惨たらしく殺害するのは、

本作の予告編が上がった時点で予測できていることなので、

日本の予告に使われている『ラスト10分で映画史が~』云々は無視して良いです。

 

問題なのは、1W1H1K。

だれが、マンソン・ファミリーを、どのように、殺したかですね。

 

このうちWHO(だれが)の部分は言わずとも分かるでしょう。

そりゃあ我らがブラピデカプーですよ!

 

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左がクリフ(ブラピ)右がリック(デカプー)、2人とも良い具合に崩れたおっさんになりましたよね。

 

同時代に世に出て、どちらもイケメン俳優として活躍した二人。

やはりライバル関係ではあったのか、なんと今作が初の共演作。

しかも俳優(デカプー)と専属スタントマン(ブラピ)という役柄でコンビを結成!

これだけで何故だか熱くなってくるのは私だけでしょうか。

 

この二人がアホほど格好良い&可愛いのが今作の大きな魅力です。

 

・カワイイ担当、リック・ダルトン(デカプー)

デカプー演ずるリック・ダルトンは落ち目のアクション俳優。

元は西部劇のテレビドラマで一世を風靡したスターですが、変わりゆく映像業界に着いていけず、すっかり端役や悪役に甘んじています。

自分の立場は分かりつつも、捨てきれていないプライドが可愛らしいおっさんです。

 

「なんで8杯飲んだんだよ!3~4杯じゃなくて8杯!」

 

 酒の飲み過ぎで大ポカやらかしてこのセリフですが、

まるで昨日の俺のようで大変親しみの湧く台詞ですね。

 

子役に演技を褒められて思わず泣いちゃうシーンなど、

デカプーの演技力も合わさってひたすら愛しさがこみ上げてくるおっさんです。

 

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イタリアに渡ってセルジオ・レオーネに拾われるエピソードなど、

モデルの1人はイーストウッドかなと感じさせますが、

当時の落ち目になってたハリウッド俳優は皆そうやって食いつないでいたと言います。

 

彼のキャラクターは、その時代の俳優の1つの典型のような存在と言えるでしょう。

 

 ・カッコイイ担当、クリフ(ブラピ)

さて、そんなリックの相棒がブラピ演ずるクリフ。 

リックの専属スタントマンですが、彼もまた落ちぶれています。

リックが落ちぶれているから、という理由もありますが、彼自身にも問題あり。

女房を殺したという噂*1があったり、

撮影所でブルース・リーとバトったりと札付きのちょい悪オヤジです。

 

そんな彼ですが、リックのようにジタバタしません。

猛犬1頭と一緒に、時々ヒッピーをぶちのめすなどして悠々と日々を過ごしています。

多分、この映画を観た人は全員このクリフを好きになるんじゃないでしょうか。

 

何考えてるんだか分からないニヤニヤ顔で、余裕を崩さない態度が凄まじく格好良い。

その態度はクズ共に囲まれても変わりません。

大声を出しもせず、そして手を出してきた奴は一瞬でボロクズにする。

 

このやべー奴感は恐らく、ブラピ史上最強と言っていいでしょう。

ステイサムより強いと噂される『スナッチ』のブラピよりもやばいです。

 

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こんな二人ですが、何故か奇跡的に仲が良いのが非常に面白い。

プライドの高いリックですが、クリフには弱音を見せますし、

誰に対しても反抗的なクリフは、リックの言う事は素直に聞きます。

 

生活も経済状況も全く対照的にも関わらず、

互いが互いを演じ合うという奇妙な相棒関係がこの絆を築いたのでしょう。

週末は二人で酒飲んでピザ食ってテメェらの出演作鑑賞会ですよ!

これぞまさしく野郎同士の付き合いです。

 

はてさて、そんな二人が飲み交わしている場所はリック宅。

史実ではマンソンファミリーに襲撃されたシャロン・テートのお隣さんなのです。

そして、腐れヒッピーどもは予想通り、襲撃先を取り違えてしまいました。 

 

「俺たちは悪魔の息子だぜ~」

 

と、イキリきったマンソン・ファミリーは不幸にもリック宅に侵入。

そこには、ベロンベロンになった上に諸般の事情でちょっとラリったクリフ

そして、惨劇が始まります。 

 

さて、

リック宅を襲う前にマンソンファミリーたちは、含蓄のある言葉を残してくれました。

 

曰く、

「テレビで毎日殺人を演じている奴らに俺たちは殺しを教えられた」

「俺たちに殺しを教えた奴を、俺たちが殺してやる」

とのことです。

 

これは大変すばらしい考え方だと思いますよ!

つまり、世のアクション俳優は全員殺しの先生、殺人マシンであるということですね。

これはタラちゃんの『そうだと嬉しいな』という気持ちが籠っていると思います。

そして、その思いは見事な形となって映画に表現されました!

 

銃やナイフで武装したならず者連中、

5秒でクリフに糸屑にされてしまいます!

 

こはちょっと見れないレベルの無双シーンです。

さっきまで調子に乗ってた奴らが、一瞬で泣き叫ぶ血塗れの丸太ん棒に変貌です!

こんなに嬉しいことってありませんよね。

 

アクションは、60年代スタンダードということでしょうか、

スローや特殊効果を使わずに徹底的にぶちのめすクリフが滅茶苦茶ヤベーです!

『喧嘩の強い奴は殴る蹴るじゃなくて、とにかく壁や床に叩きつける』

という話を聞いたことがありますが、まさにそれでしたね。

映画と言うより事故映像みたいな迫力があってゾワゾワします。 

 

人間の顔を18回ほど柱に叩きつけ、カットが切り替わってもまだ叩きつけ、

ふらふらっと逃げ出したのをダイニングキッチンに引きずり込んでまた叩きつける!

 

カットが3回も切り替わってるのに、

ずーっと同じ奴の顔をベコベコにしているのには思わず笑いが零れます。

「なんかデカい虫が飛び込んできた」

ぐらいのノリで惨殺されるマンソンファミリーには同情を禁じえないですね。

 

そして、お仲間の顔が平面にされてしまった残りの悪党は、

気が動転して逃げ出し、お隣のシャロン・テート宅に迷い込んでしまいます。

 

そこには、トレーニング終わりか、湯気の立つようなブルース・リー

実は、偶然遅刻したお陰で難を逃れましたが、史実ではブルース・リーもその時間にシャロン・テート宅にいるはずだったんですねぇ。

 

突然の闖入者にドラゴンの怒りが爆発した!

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オアチャアアァァァーーーーッ!!!!!!

 

かくして怒りの鉄拳が炸裂し、マンソンファミリーは全滅しました。

そして、返り血塗れのクリフとリーは合流。

ひと悶着あった二人ですが、今は同じ敵を倒した味方同士です。

ふっと笑い合って、血塗れの拳で握手を交わします。

 

そこにプールでプカプカ浮いてたリックも合わせ、

3人でお手てを繋いでピョーンとジャンプ!

イェーイ!END!!!!!

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同じタラちゃん監督・スタントマン無双の『デスプルーフ』みたいな感じで終了です!

 

まぁちょっと誇張と記憶違いはあるかもしれませんが、そんなこんなですよ。

クリフの無双シーンだけで名作と呼べる価値があると思います。

多分10分ぐらいですが、体感はマジで5秒ですよ。

 

そして、2019年ベストガイ部門暫定1位のクリフを是非観てもらいたい。

ファイトクラブ』しかり、暴力的なキチガイを演じさせたらブラピは最高です!

ちょっと老け込んで見えましたが、そこがまた良い!かっちょいい!

 

相棒のデカプーの可愛さと合わせて、本当に良いコンビだったと思います。

願わくば、もっとこの二人の話が見たい!

そう思える素晴らしいキャラクターでした。

 

個人的な今年度ベスト映画です。

是非とも映画館でウォッチしてみてはいかがでしょうか。

*1:多分マジ